針と糸
自分にはなにもないと思っていた。自分には何もできないと思っていた。
気づいたら病気で薬まみれだった。薬をたくさん飲んで死にかけた。
馬鹿だなって今だと思う。何やってんだよって思う。
そう思えるようになったのは変わったから、
変わったというか成長をしたから、
世界をまた知ったから、世界が広がったから。
4月になった。新しく何かが始まる月である。月。
ここしばらく黄砂のせいで月は濁っている。
街も人も空も全部濁っている。
濁ってないものはそこにさく花くらいか。
びっくりする。した。自分でも。予想はそこまでしていなかったし。
4月から店の責任者になった。なれた。できるようになった。
小さなことを積み重ねた結果、任せられる人になれた。
あんなにも死を望んで生から逃げていたのに、今では生きてさえいればと思う。
コロナで沢山嫌になった。嫌いになった。億劫になった。見たくないものまで見えるようになった。
人の本質みたいなところ。でも、平気になった。だって別にそれは私個人に向けられたものではないから。
コロナであるから故のこと。
飲食店を経営している知り合いが複数名いる。医療機関で働いてる知り合いもたくさんいる。
消毒を受け持つ会社に勤務している兄弟がいる。
なにより、その誰一人として死んでない。死んでないんだ。
4月。桜が散った。コロナは存在し続けている。
何を思うか。感じるか。どう行動するか。
自分がよければいいわけではない。自分には沢山の人が関わっている。悪い意味じゃなくていい意味で。
守りたいと思う。自分とその周りの人を。消毒をしすぎて皮膚が切れて血が出ていて、それがまたしみても
痛いけど痛くない。傷つけるための痛みではないから。守るための痛みだから。
明日も世界がいろんな色で溢れるように、そっと目を閉じて明日を待つ。
でもひび割れとあかぎれはじみにいてぇえんんだよぉぉおおおおおおおおおおお