透けゆく夜の
女は7の倍数の年齢で体の変化があるとよく言われる。私にしてみれは7の倍数の年齢で物事の分岐点に立つって感じなんだ。今年28になる。うわあ見事にだ、見事に7の倍数だ。
そんなことを考えながら海岸沿いで朝日が登るのを待った。とても寒い。寒すぎて眠くならないんだ。丁度いい椅子がわりにしたコンクリートの塊が寒さを倍増させている。
少しずつ暗闇が透けていく、あんなに輝いていた星も眩しいくらいのライトの光も太陽の明るさに比べたらほんの小さなものだと思い知らされる。薄く、薄く、透明から、橙色に、そして白く。
綺麗なものを綺麗だと言える心はまだあったんだ。
人の悪意も敵意を感じ続ければ染められていく気がしていたし、実際私にも悪意や敵意が生まれていた。けれどこんなありきたりな朝焼けを綺麗なんだ美しいんだなんて儚いんだと思えたことは自分はまだまだまだまだまだ染まっていないことを証明してくれた。
透けゆく夜のかたすみに残した想いはただ、ひたむきに生きてみたいというひかりでした。